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俺の、最後の獄中絵日記 第92回

比べてみた 前編

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比べてみた 前編


前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


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2013年(平成25年)4月3日


遅い順番の風呂で舎房に帰るとサ、舎房の入口の配膳室でもう配食係が皿を出して盛り付けやってる時間なわけだよ。

────ここで比較────

府中刑務所の場合
府中は配膳室どころか、階段の踊り場のようなところで配膳やって、それも夕飯の時間よりもずいぶん早々に済ませて、盛り付けられた皿をむき出しのまま台の上に置いておくんだよ。

その脇を、工場から帰ってきた数十人がサンダルをパタパタいわせて通って行くから、ホコリだらけだよ。

俺はあれが嫌でさ。

その上、配食係は、俺達の食べた後の皿を集めてからじゃないと食事を始められないから、とにかく急くわけだよ。

最後の部屋に食事を配膳する頃には、最初の頃の房は片付け始めてるわけだ。

俺達は食器を洗って笑って食器孔※1に出さなきゃならないから落ち着いて喰えない上、廊下ではボロい台車をガタガタ言わせながら配食係が走り回ってるから、まるで国道沿いの道端ので飯を喰ってるみたいなんだよ

で、頭に来て、我慢できずに

「うるせー」
「空下げ※2早えーよ」
「まだ喰ってんだ」
「廊下を走るな!」などと、懲罰覚悟で何度文句を言ったことか。

   

月形刑務所の場合

配膳はアコーディオンカーテンで、人が通る時は閉められているし、配食も決して廊下を走ることもなく静か。

配食係は、配ってから自分たちも食事。

それが終わってから食器を集めるからゆっくりだし、食器も洗わなくてよい。

同じ刑務所で人間らしさが違うよネ。

   


※1 食器孔...... 主に食器を出し入れする扉。独居のは、大体縦15cm横20cmぐらい
※2 空下げ......食事後の食器を舎房から出すこと