>  > やる気スイッチ
俺の、最後の獄中絵日記 第86回

やる気スイッチ

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


〈前回までのあらすじ〉
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


やる気スイッチ


0118goto01.jpg

2013年(平成25年)3月26日

本日の作業終了時間は汚染入浴当番なので、午後3時15分だ。

午後の休憩のある、比較的長い一日。

といっても他の工場の人たちは入浴なしで4時5分まできっちりやるのだから、それに比べたら楽なものだ。

なのに、この生活に慣れてしまったら、他の工場より45分以上早く終わって、ひとっ風呂浴びて舎房に戻り、この日記を書く余裕があるのに、「ラッキー!」という気持ちはいつの間にかブッ飛んでしまい、「......比較的長い一日」なんて不満気に書くようになる。

人間、図々しくなってイカンぜ。

とはいえ今日の、この長い一日を頑張る事のできる励みを何か探さないと一日が辛い。

朝から、何かないものかとずっと考えている。

発信日の今日、手紙を2通出した。
違う。
それは別にラッキーじゃない。

先月、購入申し込みした日用品が届く。
違う。
ただたんに自分の金で買ったものが、届いただけだ。

そうだ!

確か、今日の夕飯はパンで、いも団子の入ったぜんざいも出るはずだ!

しかもリンゴ丸ごと1個のおまけつき......。

よし! これなら今日一日頑張れそうだ。

ああ、一日の力の源が、結局食い物になるなんて......俺って奴は!