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俺の、最後の獄中絵日記 第82回

パイの実雑感

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〈前回までのあらすじ〉
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


パイの実雑感


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2013年(平成25年)3月20日

待ちに待った春分の日、祝日だ。

祝日といえば、菓子が出るからとても待ち遠しい。

前回の祝日から1ヶ月以上もこの日を心待ちにしてきた。

そう、心待ちににしてきたのだが、肝心の菓子はロッテの『パイの実』だった。

俺たちはシャバでは多分、一般の人たちの数倍は菓子を購入して喰っているはずだが(甘い物に飢えている時間が一般の人よりも長いからネ)、このパイの実だけは買った覚えがない。

せいぜいスロットの景品で持って帰るくらいだが、喰った記憶がない。

それでも味のほうはちゃんと知っている。

というか、日本人なら誰でも知っているくらいの、超ロングセラー商品だ。

俺が、最後に食べた記憶をたどってみると、......ああ、思い出したくもない、未決で東京拘置所にいたときの差し入れか!

あそこでは同房の皆の差し入れでパイの実が入って来るものだから、部屋中がパイの実で溢れかえっていた。

しかも、気をきかせてくれたのか、どれもこれもお徳用サイズだったから大変だった。

今なら、むしろお徳用サイズのほうがありがたいのだが、残念ながら今日はレギュラーボックス。

それでも今日食べたパイの実は、信じられないほど美味しかった。

それにしても東拘で食べたパイの実は、ずいぶん淋しい味がしたっけなァ。