>  > 他人の不幸は蜜の味
俺の、最後の獄中絵日記 第88回

他人の不幸は蜜の味

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


他人の不幸は蜜の味


enikki_088.jpg

2013年(平成25年)3月28日

朝の配食時に、向かいの舎房で口論。

「遂に始まったか」の声高く、いつかはこうなる事が予想されていたわけだが。

舎房5名のうち2名の話なのだが、他の3名も事情聴取のためか、5名すべて連行。

「当事者2名の取調べは避けられないだろう」と、すでにその2名がいなくなる前提で皆が一斉に話し始める。

「あの人の仕事の後釜には誰が」とか、「あいつが居ないと参るな」とか、そんな話だ。

懲役とは同じ毎日の繰り返しだから、何か少しても変化が欲しいものなのだ。

たとえ、それが他人の不幸あっても、自分さえ不幸でなければ、気分転換のようなもの

でも、こういうのは何も懲役だけの世界ではないかもネ。

しかし、この2名というか5名、作業が始まり数分すると全員帰って来た。

声を荒げただけで、ケンカ、争論とは見なされずに済んだらしい。

「よかった」などと皆口々に言うものの、先程までは面白おかしく上がりまくったテンションも潮が引くように下がり、また昨日までと同じ毎日に戻った。

すると昼過ぎ、誰かの舎房着や服をロッカーから引き上げるオヤジの姿。

どうやら先日の靴下の件で審査会に行ってた奴が、そのまま懲罰行きで帰って来られなくなったとのこと。

房内のテンションは再び上がった