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夢の火星移住実現にむけて

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夢の時代がやって来た!

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赤い惑星・火星。英語ではもちろん『Red Planet』

 人類のロマン「火星移住」。この度、なんと、オランダに本拠地を置く非営利団体「マーズワン財団」が、なんと2025年に火星移住を実現させると発表した

 既にオランダのテレビ番組を通じて移住希望者の公募も済んでおり、世界107カ国から約20万人の応募を受け、その中から1058人(男女均等、アメリカ297人、カナダ75人、インド62人、ロシア52人、日本396人)の候補者に絞られたという。

 更に最終選考では24人にまで絞り、2024年から2年ごとに4人ずつ(マルチプル・クループ)が火星に旅立ち、2033年には20人が火星に移住するとしている。

マジかっ!?

火星の環境に人類は耐えられるか?

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観測の結果、火星の地表には水がないことがわかっている。

 火星とは、太陽系の太陽に近い方から4番目の惑星である。

 地球型惑星に分類され、地球の外側の軌道を公転している。火星の1日は、24時間39分35,244秒で、地球と同じ様に自転軸を傾けて公転しているため季節が存在している。

 ここまでは地球に似ているが、もちろん違う点もある。まず火星の重力は地球の40%しかない。また火星の大気の主成分は95%が二酸化炭素で、人間にとって必要な酸素はわずか0.13%しかない。まさにそこは真空状態であり、生身の人間は20秒で失神し、60秒以内に死亡してしまう。地球とはまるで違う星である。
 
 更に、人間にとって必要な水の存在がまだ確認されていない。NASAによれば、今から約45億年前の火星には水深1500m最深5000mの広大な海が存在しており、火星全体の約20%を占める程の水があったとしているが、現在では、火星の表層には海も川もない。この45億年間のうちに、蒸発して消えたか、水が凍って地下に溜まったと推測される(とくに地下説の方が有力視されているそうだ)。

 火星の平均気温はマイナス43度。最低温度はマイナス140度にまでなる。火星はその字から火の星と思われがちだが、実際の火星は極寒の星である。

 NASAの無人探査機マーズリコネサンスオービターの観測で、二酸化炭素が凍って出来たドライアイス状態の雪が降っている事が判明。そんな極寒の地のため、かつて存在した海や川は凍りついて地下に沈んだとされる。これを裏付けるもうひとつの理由は、NASAの無人探査機キュリオシティーが採取した火星地表面の土を分析したところ重量比にして約2%の水が含まれている事が分かった。よってかつて火星の表層部にあった大量の水が地下部にあると科学者たちは推測しているが、人間にとって最も重要である水の存在が未だに推測の領域である。

 今のところ火星は地球とはまるで異なる星だとしか言いようがない。

旅行代金は1000億円

 火星移住は人類のロマンではあるが、現段階では不安と危険を感じる人々も多い。イスラム教には、火星への旅行や移住を禁ずるファトワー(布告)もある。そんな中、マーズワン財団は既にイスラム教に対してファトワーの撤回を求めたとの事。マーズワン財団の火星移住計画はかなり本気である。

 移住という永住計画は、コロニーの建造により可能になると考えられている。それに先立ちマーズワン財団では2018年よりサテライト建造の他にオランダの学生チームSeedと共同で火星での植物育成実験を開始する。先記の通り、真空状態で水分もない火星での動物生命の発達は困難な事が予測されるが、大気の殆どが二酸化炭素であり地球と同じような季節があれば、植物が育つ可能性はある。育った植物が酸素を作り出せるようになれば、火星の環境は地球に似てくる。それだけ人間が住みやすくなるのである。この実験結果次第で、火星移住計画の具体案に変化が生じる場合もあるが、今のところは、コロニーによる移住が有力視されている。

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人類は居住用のコロニーで生活する。

 コロニーについては、宇宙ステーションに荷物を運ぶ宇宙船を開発し、マーズワン財団よりも技術的にリードしている民間企業Space社が火星に8万人が住めるコロニーを建造する構想を発表している。その建造費用は360億ドル(約4兆2000億円)との事。これに火星への有人宇宙飛行代金が加算される。ひとりあたり約1000億円かかる。

 うーん、凄い大金だ。

 ちなみに地球から火星へのフライト時間は約8ヵ月間。

 マーズワン財団では、火星移住者の要件として「強い目的意識、健全な人間関係を構築及び維持する意志、内省する能力及び信頼できる能力」を持っており「快活で適応力があり好奇心が強く創造的で機知に富んでいなければならない」としている。

 年齢制限は18歳以上だが、上限は設けられてはいない。

 この要件を満たしているとマーズワン財団が判断した人たちは、出発前の8年間で移住に必要なトレーニングを受けるとの事だ。

一生に一度の片道切符

 この火星移住計画について批判的な声も多い。計画倒れになるだろう、とか無謀な詐欺だ、と言う方々も多い。

 そもそも「地球に戻れない」という大きなリスクもある。見学や旅行ではなく移住である。いったん地球を出発して火星に到着したら、一生、火星で生活する事になる。一時帰郷なんて出来ない。地球に戻る宇宙船を火星で打ち上げる事は技術的に不可能だからである。

 行ったら、もう戻れない、そんな大きなリスクを背負ってでも、行くのである。夢があっていいのではないだろうか。

 出世や金稼ぎだけが人生ではない。彼らは火星移住という大きな夢の実現に向けて乗り出したのである。命をかけて。

 募集選考に残った日本人女性の島袋悦子さんはメキシコで日本料理店のシェフをしている50歳。火星移住が実現した時はもう60歳になっているが、火星で寿司屋を開業したいそうだ。もしかしたら近い将来、火星カニ巻きとか火星鉄火巻きとか食べられるようになるかもしれない。火星にもしも生で食べれる生命体がいたら、それをネタに寿司の歴史初の「未知なる握り」も食べれたりするかもしれない。全国の火星好き、寿司好きにはたまらない話である。

 誰かの夢がまた別の誰かに夢を与える。例え、この火星移住計画が途中で頓挫したとしても、自分に正直に夢を追った彼らに後悔はないはずだ。

   

(取材/文=藤原良)