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俺の、最後の獄中絵日記 第62回

北海道のシジフォス

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〈前回までのあらすじ〉
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


北海道のシジフォス


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2013年(平成25年)2月27日

おい!

来る日も来る日も俺は削ってるよ。

鉄の棒をな。

自分が作っているものが、どんな製品の何の部品かも判らず削ってるよ。

......作業っていうのはさあ、自分がやってる事がどんな物で、その後、どんなものが出来上がって、こんなふうに役に立ってる、とかいうのが判らないままだと、何の張り合いもないものだね。

意味のない仕事をしているのはロボットと同じだものネ。

だから今日は聞いたよ───そしたら判った。

ゴミの収集所って、ネコやカラスに荒らされないようにネットで囲ってあるだろう?

あれの骨組みだってサ。

そうやって判れば、「ああ、それじゃちゃんとバリを取って、ツルツルにしといてやらないと、近所のオバサンが手をケガしちゃうな......」なんて思いながらやるようになるわけだよ。

そういう事をちゃんとはじめに説明してくれりゃあ、出来上がりだってずいぶん違ってくると思うんだよネ。

刑務官もよォ、ただ偉そうに「黙って言われた事だけやれ!」ってんじゃ脳が無えよナ。

とにもかくにも毎日毎日、この作業で俺は手にマメを製作中だよ。