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俺の、最後の獄中絵日記 第60回

真面目な人はどんな時も真面目

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〈前回までのあらすじ〉
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は、北海道の月形刑務所で服役中。関東で生まれ育った武二郎にとって、真冬の北海道は目新しいものばかりだった!


真面目な人はどんな時も真面目


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2013年(平成25年)2月25日

この工場は平和だよ。

北海道の刑務所自体が平和なのかナ。

府中の2区第17工場で仕事をしていた時は、一ヶ月に平均13人の懲役が、何らかの形で工場をあとにした。

毎日、工場を出された人の荷物をまとめて取り調べの独居に送る手続きをしていたよ。

だから70人ほどの工場だったが、人の入れ替わりが早かった。

作業拒否、メシのやりとり(不正授受)、けんか、担当抗弁※1、まゆげをいじったとか交談っていうのもあった。

それに比べてこの工場は2ヶ月あまり誰も動かないし、実に平和な工場だ。

だから俺は今も新人。

考え方によっては変な揉め事も少なく、事故に遭う確率が少ないのだから、無事に勤めるにはやりやすい場所かもしれないね。

しかし本日、ある初犯の方が作業を拒否して、この工場からあがっていってしまった。

人の良さそうな人だったが、人気者ゆえに工場でいじられ舎房でいじられ、少々疲れてしまったのかもしれない。

それにしても、それはそれは人の良い、真面目な人だったよ。

だって作業中に突然作業拒否するのではなく、願い事の時間になるのを待って、自分の順番のときにこう願い出たんだぜ。

「○○番、凸山凹助、作業拒否お願いします!」ってネ。


※1 担当抗弁......刑務官に対して囚人が口答えすること