>  > 不動産OLの危険な副業 〜身近に潜むオイシイバイトにご用心〜
グレーゾーンの悲惨な面々 第2回

不動産OLの危険な副業 〜身近に潜むオイシイバイトにご用心〜

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

意識せず犯罪に手を染めるケースが増えている

 前回はかつて別件で取材した男が、振り込め詐欺の「見張り」で逮捕されていたということについて触れ、「グレーゾーンの悲惨な面々」と冠した記事を書いた。

 だが考えてみれば、詐欺は法的には最初から黒で、特殊詐欺絡みで逮捕されると、幅はあるものの懲役3年から10年と随分重い判決を下されている印象だ。ヤクザではない、だがカタギとは言いがたいが故の「グレー」なのだろうが、実生活では思いっきりカタギであるはずなのに......という人生の悲劇としか言えないような判決を下される場合もある。

 これもまさにグレーゾーンの悲惨な面々ということになるだろう。

 自業自得としか言えないのだが、だからこそグレーであれ、法に触れる行為はよく考え、腹を括らなければやるべきではないのだ、という教訓も与えてくれる。

不動産OLの危険な副業

「オペレーター募集。誰にでもできる簡単なお仕事です」

 東京都の郊外。そこは東京の中心ではないが、その辺りの駅では大きく、規模は小さくても一通り遊び場がある。飲み屋、ピンクサロン、出会い部屋、洗体エステ...。近隣のネカフェには風俗嬢が待機しており、近くのレンタルルームで落ち合うことができる。

 その喧噪から少しだけ離れたところにある(タクシーでワンメーター程度。だが、それだけで辺りはもうだいぶ静かだ)古いマンション。殺風景なオフィス。古い玄関には鍵が6個ついている。

 怪しさ満点だ。

 ニ●リで揃えたという家具の上に同機種のパソコンが並び、6人の男女がパソコンに向かっている。彼、彼女たちがオペレーターだ。その女子の一人がM(26)だった。

 給料がいいとは言えないが、昼間は不動産屋でOLをやっていた。ホストにハマっているわけではなく、それだけの給料でも生活は賄えたはずだ。実際、彼女の口座には何年もとは言えないまでも、数カ月は働かずにワンルームマンションでの女一人の生活を余裕を持って送れるほどの金があった。

〈もう駅で待っているんですけど〉
気の毒な女(客)からメールが届く。

〈どこにいるんでしょう。私も近くにいるのですが〉
某男性芸能人になりきったMがそうメールを打ち返す。

「もう駅で待っている」とメールを送るのは300円、「どこにいるんでしょう」というMの返信を読むのに300円。

〈あ、いまどこにいるか写メ送って頂くの可能ですか?〉
Mはさらにメールを送る。このメールを読んだことは送った瞬間にわかる。また300円が加算される。客はこれに対し「はい。○○駅東口のドトール前です」とのメールに、ドトールの写メを添付してくる。写メを添付するのはプラスで1000円のサービスだ。つまりこの1通で、1300円取られている。5分で2000円を超えるやり取りだ。

「ハマった客はとことんハマります。家を担保にして金を借りてでもメールしてくる。特に女です」

 出会い系業者が口を揃える「ハマった女はヤバい」。貯金をすべて費やし、サクラとのメールにすべての時間を捧げてしまう。出会い系のサクラは女にターゲットを絞った業者が強い。そしてあくどいと言われている。そして、業者の中には自分が女だけに、女の生理を知り尽くし、甘い言葉を並べる女たちがいる。

 Mもその1人だった。

 誰にでもできるバイトを始めて半年、罪の意識も薄れて何も考えずにメールを打つ毎日だったのだが、ある日、捜査二課が訪れ、全員逮捕。

 Mに下された判決は実刑で2年だったという。

 社会的には普通のOL......だった。このケースもまた、グレーゾーンの悲惨な面々の一例と言えるだろう。彼女はただデスクに座り、メールを打っていただけだ。


(取材/文=李白虎)

 


パソコンOL.jpg

メールを書いただけで懲役2年とは(写真はイメージです)