>  > 家出なう。〜渋谷の雑踏で家出少女と話した #04最終回〜
ノンフィクション作家・石原行雄が迫る

家出なう。〜渋谷の雑踏で家出少女と話した #04最終回〜

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(前回まで) 
 親を甘く見、男を甘く見、自由気ままに家出を楽しむ。男の家に寝泊まりし、家出をプチ旅行と楽しむ姿は、こちらが見ていてハラハラするほどだが、当の本人はどう感じているのだろうか?


全部計算した上で行動している

──家を出るときに不安はなかった?

夏海●昔に家出未遂したときはあったけど、今回は親にキレててそれどころじゃなかったから。まあ実際やってみたら、どうってことなかったし。

──実績を作った、と。むしろ親の方が今、不安だらけだろうね。厳しかった親がこれで変わるかもね。

夏海●そうそう! 家に帰ったら豪華なゴハンが出て来そう(笑)。

──家へはいつ帰る?

夏海●あと4~5日くらいで。

──帰ってもいいと思えた理由は?

夏海●しょせん帰るしかないし、宿題も残ってるし......。それに、もともと登校日には帰るつもりだったし。本当は登校日までに宿題ぜんぶ終わらせて、登校日の後から夏休みの最後まで家出しようと思ってたんですよ。お盆にはお小遣いも入るし。

──計画家出だ。

夏海●だけど怒られたから、それでキレて「もういいや」って。

──予定を前倒しにした、と。

夏海●今年の夏は、絶対に家出するって決めてたんですよ。今まで「やる、やる」って言っててできなかったんで。

──突発的じゃないんだ。

夏海●ふふふふ(笑)。


◆◆◆◆◆ 家出事件簿・その5 ◆◆◆◆◆
 派遣型風俗店の経営(42歳)が、同店の店長(31歳)と共謀し、家出中の女子中学生2人(いずれも14歳)を雇い入れ、大阪市内のホテルに派遣。男性客相手に猥褻な行為をさせていた。


──しかも親も完全に制御されたという。

夏海●親はもうどうでもいい。これでキレまくってケータイ取り上げられても、それはそれで。だから帰る前にケータイのメモリーは全部メモっておくつもりだし。それでケータイがなければ、次に家出したときに見つけられないだろうし。

──困るのは親自身だろ、と。

夏海●今も親は、居場所までは知らないんで。

──東京にいることは知ってる?

夏海●ううん、知らない。でも、もしかしたら......。ケータイって、かけると居場所がわかるって友達に聞いたんですよ。

──発信場所がね。

夏海●だから最初は電話しなかったんですよ。かけるにしても、例えば大宮にいても電話するときだけ渋谷に行ったりとか、遠くに行ってからかけようとか思ってて。メールで親が迎えに来るつもりがないってわかったから、電話してもいいかなって、かけるようになったんですよ。

──ただ意地で電話に出なかったんじゃなくて、それも戦略だったんだ?

夏海●そう。

──ほー。

夏海●一応、ある程度考えてるんですよ。警察に言われても、まったく連絡しなかったら大変だけど、メールしとけば事件じゃないから警察も動かないかな、とか。家出なんて夏になればいっぱいあるから大丈夫かなって。

──知能犯だ。

夏海●ふふふふふふ(笑)


 もちろん、たまたま運がよかっただけかも知れないし、今頃は犯罪に巻き込まれている可能性だってある。犯罪とまではいかなくても、「いい人」という男友達や先輩が、今頃豹変している可能性もある......というか、かなり高い。最初はいい人を演じ、心を開いた頃を見計らって、ついでにお股を開かせるのはある種の男の常套手段である。そうして餌食になった似たような少女を、筆者は以前取材している(拙著『アウトローたちの履歴書』に収録)。

 夏海ちゃんは、どうなのだろうか?彼女のその賢明さでトラブルを切り抜けて、楽しい日々を過ごしていることを、今はただ願うだけである。


(取材/文=石原行雄)


石原行雄 プロフィール
闇フーゾクや麻薬密造現場から、北朝鮮やイラクまで、国内外数々のヤバい現場に潜入取材を敢行。著書に『ヤバい現場に取材に行ってきた!』、『アウトローたちの履歴書』、『客には絶対聞かせられない キャバクラ経営者のぶっちゃけ話』など。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ishihara-yukio/



家出少女04.jpg

いざとなれば靴下売るしィ、と少女は笑った。