>  > できればこのまま小田原に
俺の、最後の獄中絵日記 第3回

できればこのまま小田原に

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

〈前回までのあらすじ〉
覚せい剤で逮捕されること4回。
今回も懲役2年4ヶ月の判決を受けてしまった後藤武二郎は、この辛い日々を生涯、忘れないために、獄中で絵日記を描くことを決意するのだったが......。


できればこのまま小田原に


0118goto02.jpg

2012年(平成24年)10月☓日

今日、俺は未決囚から懲役囚に変わる。

親族外部交通票が手渡され、記入する。

その際、違う用紙も一枚入っていた。

こちらは読んだらサインしておけ、って言うんだね。

内容はここの雑役※1の作業マニュアルだった。

しばらくすると、部屋の外に連れ出され、担当台※2へ。

マニュアルの用紙を手に、オヤジが言うのだ。

『ここの上から受けがいいな。そういう事だから............意味は判るだろ? この事は舎房で言うなよ!』

つまり、このまま小田原拘置所にオチる※3可能性がある、という事だ。

ここに来た際に『経理できるな』と言われたのもそのためか。

拘置掃夫※4に聞くと、小田原にオチた者の中には再犯者でも3ピン、4ピン※5の仮釈をもらう奴がいるという。

これは最高のチャンスだ。

メシが悪い。運動場も屋上の狭いとこだから走ったりできない。慰問も来なきゃ何のイベントもない。

しかし、ここ小田原拘置所は、俺の"仮釈作戦"のためには最高のチャンスを備えた場所なのだ。

それならば、すべて目をつむる事ができる。

もしかしたら俺の"仮釈作戦"は、最高のスタートを切ったのだろうか?


※1 雑役......拘置所で未決囚の世話をする懲役囚のこと。一般に刑務所よりも拘置所のほうが自由がきくとされているため希望者も多く、懲役囚の中でもごく一部の模範囚しかなれないといわれている
※2 担当台......刑務官の詰所のこと
※3 拘置所にオチる......懲役囚が刑務所に送られずに拘置所にいたまま服役すること
※4 拘置掃夫......刑務所に送られず拘置所で服役している懲役囚の中で、未決囚のための雑役をこなす仕事をまかされている懲役囚のこと
※5 3ピン、4ピン......刑期を3分の1だけ残して早めに仮出所すること。ごく一部の模範囚だけに限られた特例といわれている。4ピンは4分の1