>  > 現役ドラッグディーラーが語る「危険ドラッグ」のヤバさ
密売人リューの告白 第1回

現役ドラッグディーラーが語る「危険ドラッグ」のヤバさ

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 危険ドラッグがまだ「合法ハーブ」と一括りにされていた当時(まだそう昔の話ではないが)、一番ヴィヴィッドに「合法ハーブ」を批判していたのは、記者の回りではネタ元のリューだった。

 リューは東南アジアと日本を行き来するドラッグディーラーである。

 彼が扱うのは一貫して非合法の商品だから、ハーブ業者は商売敵になり得るわけで、その直接的な怒りが向かうのも当然なのかもしれない。

「合法ハーブが不味いと感じられない感覚がマズいですよ。例えば大麻は、本当にプロが扱っているものはワインに似た感覚で楽しむようなものです。どういう畑でどういう栄養素で育ったか。『神の雫』ならぬ『神の蕾』みたいなイメージなんですよ。そういう愛好者から見ると、合法ハーブは理科室から盗んだアルコールにワインより酔えるの見つけた! みたいな。それとまったく同じなんです。だって煙が臭くて気持ち悪いでしょう?」

 リューは危険ドラッグの話題になると常に語気が荒くなる。その場で吸える「合法ハーブ」業者が各地で店を出しているときから、一貫して非合法の商売をしてきたリューの言い分をどこまで正当化して良いかはわからない。だがその後、合法ハーブ愛好者たちは交通事故で居合わせた通行人を轢き殺したり道路を逆走してみたり、様々な事故を引き起こした。

 当局も後手後手ではあるがようやく「危険ドラッグは犯罪」というに至った。それも、ごく最近の話である。

 だが、リューは裏稼業人だ。記者はもう何年も前から彼が「合法ハーブ」批判するのを聞いていたが、当局が「危険ドラッグを犯罪」と派手にうたっている今、そのキャンペーンと足並みを揃えた風なことを言っても、後だしじゃんけんのようで、いまいち説得力に欠けるように思われるだろうか。

 リュー曰く。
「合法ハーブを最初に扱い始めたのは、マジックマッシュルーム業者です。マッシュはかなりブットんだトリップをもたらすシロモノ。ただの乾燥キノコで、身体に悪いものではないですが、今の危険ドラッグと同じような感覚で売られたら交通事故を激増させることは間違いない。ですが、かつてのマッシュブームと今の危険ドラッグブームには大きな相違点が2つある」

 リューが言うには、マジックマッシュルームのブームはあくまでアンダーグラウンドであり、当時から(今から20年近く昔だ)大麻愛好者を中心にそもそも非合法でもなんでも純粋にトリップ好きな住人が嗜好したものだった。彼らの多くはマッシュが合法だから食べていたのではなく、ただ食べたいものがたまたま合法だったに過ぎない。これがひとつ。もうひとつは、このマジックマッシュルームを扱っていた業者が売り始めた合法ドラッグ、合法ハーブの類は、根本的に今の危険ドラッグとは思想も性質も違うものだったという。

「まったく違いますね。悪貨は良貨を駆逐する。まさにそれがドラッグ業界で起こった」
 
 現役ドラッグディーラーリューが言う真意とは。次回、さらに掘り下げて紹介したい。


(取材/文=李白虎)

ドラッグ01.jpg

リューの身体からは、いつも干草の香りがした......(画像はイメージです)