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野球賭博ノミ屋が壊滅!? 日米野球が盛り上がらない街『大阪・新世界』#2

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「阪神連勝で野球賭博ノミ屋が壊滅!? 日米野球が盛り上がらない街『大阪・新世界』その1」より

ひたすら阪神に賭け続ける新世界の住人たち

「今回のクライマックスシリーズはほんまワヤやで。胴元はもちろん、賭ける客にしても阪神の勝利を信じているわけではない」
西成のある胴元が苦笑して言う。

「それでもこの辺の客は、みんな人生ダメモトって発想やし、初戦で阪神が勝ったら、その金全額ベットしてまた第2戦も阪神。ノミ屋は『おお阪神勝ちよった、なら次は巨人やろ』ってなるわな」

 ところが新世界ではそうはいかない。

「普通に考えたら、こっちのほうが社会一般でいっても常識的な考えや(笑)。それで第2戦も阪神や。『おいおいほんまかいな』って。そうは言っても、まだこっちは最終的には巨人やって頭がある。ただこの辺の客は違う。なんせアホやし、また、今回も全額阪神や!って。耳で受けてても、向こうが立ち飲み屋で祝杯をあげてる声がきこえんねん、まだ金を手にしたわけでもないのに(笑)」

 ノミ屋は「初戦、阪神が勝ったなら次は巨人」、阪神が2連勝したら「だったら、今度は巨人で決まり」という、曰く社会一般の常識的な考えでシノギをする。だが、新世界の阪神ファンは違うと前出飲食店経営者は言う。

「うちにも、まだ金が払い戻される前から、みんな気勢をあげて飲みに来てくれたわ。もうこれで1日2日仕事しなくても大丈夫やくらいなもんや(笑)」

「人死も出るんちゃうか」ノミ屋大ピンチの展開

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 そして、3戦目。ご存知この試合を阪神が勝利したときから、新世界界隈は異様なテンションが漂い始めたという。客の側は、横一線に同じ発想で迷うことなく第4戦も全額阪神にベット。「さすがにそろそろ次は巨人だろう」とは考えない。いや、考えたところで、巨人にベットするわけではない。

「例えば10人の客の金を取りまとめて、その全員が馬鹿の一つ覚えみたいに、毎日阪神に倍々で賭けていくわけやろ。3戦目の試合が終わった後は、『おいおいシャレにならんで』と血走った目のノミ屋が俺の回りもようけおったわ。もし次も阪神勝ったら、いくら払い戻さなあかんねんと。これはもう数百万レベルの話や」(前出・胴元)

 そして、ご存知の通り結果はまさかの阪神4連勝。実際、このクライマックスシリーズで個人レベルで動いている何人ものノミ屋が新世界から消え、「人死にも出るんちゃうか」と、まことしやかに語られていたという。

「この勢いやったら、もう日本一は決まりやというファンの期待を裏切るのは、さすがに我らのタイガースやな(苦笑)。クライマックスシリーズでなんとか踏みとどまったノミ屋はソフトバンクのおかげで首の皮一枚つながった。ジャイアンツに4連勝しながら、優勝を逃したことで阪神ファンも白けてもうたところがある。なんでやねんと。そこは絶対勝たなあかんとこちゃうんかと。だから、日米野球なんて、もうどうでもいいって空気になっていたのは確かやな。みんなどことなく上の空や(笑)」

 そう前出の飲食店経営者氏は楽しそうに話す。野球賭博が違法なのは言うまでもないし、「人死にが出る」と囁かれるほどだから、かなりの額が動いていたのだろう。だが、話を聞いていて筆者も思わず釣られて笑ってしまった。


(取材/文=李白虎)